中小企業における製品ライフサイクルで大事なコト
以前、「製品ライフサイクル」についての記事をアップしました。
ここでは、製品や事業には “ライフサイクル” があり、マーケティングを行う際にはこれを考慮に入れましょうというお話をしています。
本日は、少しこれを深掘り、というか違う角度から考えてみたいと思います。
巷の理論は中小企業にも当てはまるのか?
前から思っていたことがありまして、
世の中には優れた経営理論やマーケティング理論がたくさんあります。
このブログでも紹介しているような、伝統的で普遍的な理論は、ビジネスを考える上でとても役に立ちます。
しかし、大手企業であればスッと入ってくる理論でも、中小企業に当てはめてみるとちょっと違うなあと感じることが多々あります。
違和感を感じる理由として、2つあるのではないかと考えています。
ひとつは、「リソース」や「スキル」
中小企業にはマーケティング部門や経営戦略室のようなものは設置していない(できない)ケースが多く、
これ専門に時間を避ける人員が社内にいません。
強いて言うなら社長がこの役割をしていますが、社長はとても忙しいものです。
また、例えば市場分析しようにも、その材料となるデータも揃っていないし、探し方もわからない。
データがあったとしてもどう分析したらいいのかわからないといったことが起きます。
そのため、優秀な理論も「机上の空論」のように聞こえてしまいます。
もうひとつは、「気持ち」や「感情」です。
中小企業、特に同族経営をされているような会社では、その事業にかなりの「気持ち」が乗っています。
理論的に正しいことを言われても、気持ちが乗らないとなかなか舵を切れません。
これは中小企業に限らない話かもしれませんが、よりその傾向は強いように感じます。
さて、本日はこのふたつ目の「感情」と経営理論について考えてみたいと思います。
製品ライフサイクルの例
きっかけは、ある会社のコンサルをしているときでした。
新しいビジネスモデルを構築しようということで、戦略を練っていました。
ある程度案が固まり、報告資料を作るときにポイントになったのが、
「今までのビジネスを否定しない」
ということ。
考えてみれば当たり前で、
大企業のように、商品がたくさんあって戦略的に新事業の導入と撤退がルーティン化している会社であれば、
“この事業はもう通用しないから新規事業をはじめましょう” というアイデアも受け入れられやすいと思います。
しかし、創業者が始めたビジネス一本で勝負してきたような会社にとって、
今の事業を衰退させていくのは非常に心苦しいことです。
なので、「今までのビジネスは本当に良かった。おかげでめちゃくちゃ成長できた。でも時代がどうしても変わっているから新しいビジネスが必要」
と、うまく説明する必要性が出てきます。
これを説明するのに、「製品ライフサイクル」というものが使えると感じました。
製品のライフサイクルというのは、本来的には、
対象となる製品のライフサイクルの各ステージごとに、ターゲットにするお客さんや売り方を変えていかなければいけない、というマーケティングの話なんですが、
ただただ、シンプルに、「どんなにいい商品でも、魅力的なビジネスでも時代の移り変わりによって新陳代謝を求められる」
ということを伝えるために使おうと考えました。
報告はまだですが、資料もいい感じにまとまり、きっとうまくいくと思います。
大事なコト
今回の件で気づいたことが3つあります。
理論は理論
まず、こういった経営理論やマーケティング理論は、あくまで理論であるということ。
勉強したものをそっくりそのまま使う必要は全然なくて、会社の状況に応じて、伝えたい文脈に都合のいいように組み込めばいいと感じました。
切り替える勇気
これだけ時代の流れが速いと、ビジネスモデルの転換を求められるスピードも速まります。
これは大企業でも中小企業でも同じです。
しかし、愛着のある事業を手放せず、この流れについていけなくなった会社も多いのではないでしょうか。
今の事業がお金を稼いでくれている間、製品ライフサイクルで言えば「成熟期」にある間に、
新しい事業の “芽” を育てることが大事なのではないかと思います。
気付かせてくれる人の重要性
中小企業においては、大事だけど言いにくいことを言ってくれる人材が必要です。
会社内部の人間が上手く伝えられたらそれが一番いいですが、人手不足の時代になかなかこういう人材を確保するのは難しいでしょう。
となると外部に目を向けることになりますが、会社や社長に絶妙な距離感で定期的に接している人がいればそれが理想です。
例えば、顧問税理士や保険のセールス、銀行員など、会社の実情がわかっていて、かつ客観的に判断ができる人が
社長が気づいていない、もしくは大事だけど避けているような事項について提言してあげたら良いんじゃないかなと思います。
私たちKUMA Partnersもそういう提言ができる存在であるよう日々頑張っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。