法人と個人事業主、どちらが自分に合っている?

〜起業前におさえておきたい違いと判断のポイント〜
今回は「法人と個人事業主の違い」について、これから起業を検討されている方や、副業から本業化を目指している方向けにわかりやすく解説していきます。
目次
そもそも「法人」と「個人事業主」の違いとは?
簡単に言うと、法人は法律上の人格を持った存在で、経営者本人とは別の“法人格”が事業を行います。
一方、個人事業主は経営者本人の名義で事業を行う形態です。
この違いによって、税金の仕組みや社会的信用度、責任の範囲などにも大きな差が生まれます。
メリット・デメリットをざっくり比較
まず、法人のメリットは以下の3つです。
- 社会的信用が高い(取引先に信頼されやすい)
- 経費の幅が広がる(役員報酬を経費にできる など)
- 有限責任(トラブル時の責任が限定される)
一方で、デメリットとしては、
- 設立や維持にコストがかかる
- 会計処理や決算手続きが複雑になる
といった点が挙げられます。
対して、個人事業主のメリットは、
- 開業手続きが簡単
- 設立・運営コストが低い
- 会計処理のハードルが比較的低い
ですが、次のようなデメリットもあります。
- 社会的信用が法人に比べて低い場合がある
- 無限責任(事業上のリスクをすべて個人で負う)
税金面での大きな違い
税制の面でも両者は大きく異なります。
個人事業主の場合、所得に応じて税率が上がる「超過累進課税」が適用され、
最高で所得税45%+住民税10%=最大55%の税率になる可能性があります。
一方、法人の場合はおおむね30%前後の税率が適用されます。
また、法人から経営者個人に支払う役員報酬を「経費」として処理できるため、所得の分散による節税が可能になります。
法人化の目安となる“利益800万円”
「いつ法人化すればいいのか?」という点についてですが、
目安となるのが “利益800万円” です。
ここでいう利益とは、売上から経費を引いたあとの“所得”のことです。
なぜ800万円が目安かというと、法人税の軽減税率が適用される上限がこのラインであること、そして個人の所得税率も900万円前後から急に上がることが理由です。
ただし、これはあくまで税金面の基準であって、必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。
税金だけではない「法人化」の判断材料
実際の判断では、税金面だけでなく、次のような要素も考慮する必要があります。
- 取引先からの要望(法人でないと契約しづらい場合がある)
- 経営者としてのモチベーション(名刺に「代表取締役」と書ける喜び)
- 将来的な事業拡大の見通し
- 設立・運営にかかるコストと体制
たとえば、僕自身も法人を設立した際、「代表取締役 久保」と名刺に印字されていたときの嬉しさは今でも忘れられません。
そんなちょっとした動機が、事業の加速につながることもあるのです。
まとめ:迷ったらシミュレーションと相談を
法人と個人事業主、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが合っているかは事業内容やライフスタイルによって異なります。
「ちょっと迷うな…」と感じた方は、専門家と一緒にシミュレーションしてみるのがおすすめです。
KUMA Partnersでも、起業や法人化を検討している方のご相談を承っていますので、お気軽にご相談ください。