PEST分析~マクロの視点~
新型コロナウイルスの流行に伴い出された緊急事態宣言が解除されてから1か月以上が経過し、再び経済活動が再開され、今では電車の込み具合など緊急事態宣言前に戻っているような気がします。
営んでいる事業の良し悪しに関わらず、新型コロナウイルスの流行という事象により急激な転換点を迎え、廃業を余儀なくされた事業者さんも多くおられるかと思います。
ビジネスは常に世の中全体の変化であるマクロ環境に大きな影響を受けます。
そのため中長期的に自分の会社のいる業界を取り囲むマクロ環境を把握することが非常に大切です。
今日はマクロ環境要因を網羅的に洗い出せるPEST分析について見ていきたいと思います。
PEST分析とは?
PEST分析とは「Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」の4つの頭文字をとったものです。
これらPESTには数えきれないほどの外部環境要因があり、その中には4つのうちどこに振り分けるのが正しいのかを
迷うものもありますが、この分析の目的は要因を4つの項目に正確に区分することではなく、
自社のビジネスに影響を与える重要な要因を認識して見落とさないようにすることです。
Politics(政治)
ここでは規制や制度などのマーケットのルールそのものを変化させるようなもので、以下のようなものが入ります。
・法律や法律の改正(業界の規制や緩和)
・裁判制度や判例
・政治や政権交代 など
これらは国などの決定によるものであり、会社側でどうこうできる問題のものではないです。
そのため、会社としては政治や法律の改正等の動きに目を光らせて、動きがあった場合には自社にどのような影響が出るのかを事前に確認する必要があります。
例えば自社がいるマーケットが法律の規制により参入障壁が形成されていたにもかかわらず、自由化によりその規制が解かれる場合などには多くの競合を相手とする準備が必要です。
Economy(経済)
景気や経済成長、また、消費者の購買力や支出のパターンに影響を与える要因のことで以下のようなものが入ります。
- 為替や株価、金利、原油価格
- 景気動向、消費動向
- 物価 など
為替は日々変動していますが、会社によっては為替の変動により利益に大きな影響を受けることもあります。
また、原油製品を原材料として製造を行っているような会社は、今後の原油価格の推移によって会社の利益が大きくぶれることがあるため、原油価格の動向には常に目を光らせておく必要があります。
Society(社会)
人口動態の変化などの需要構造に影響を与える要因のことで、以下のようなものが入ります。
- 人口動態、構成、世帯
- 流行や世論
- 少子化や高齢者の人口 など
日本は数年前から少子高齢化が問題として取り上げられています。
高齢者向けのサービスを提供する会社としては今の日本の社会情勢は歓迎すべきビジネスチャンスとなりますが、
子供向けのビジネスを展開する会社にとっては、多角化に移行するか海外を視野に活動を行わなければ、
先細りとなることが目に見えているため、準備が必要です。
Technology(技術)
ITのようにビジネスのそもそもの土台に影響を与える要因のことで、以下のようなものが入ります。
- インフラやITの活用
- イノベーション
- 新技術の普及度合や特許 など
電話ボックスが携帯電話やスマートフォンの登場により姿を消したように、また、ビデオテープがDVDやブルーレイディスクの登場により姿を消したように技術の革新は日々進んでいます。
今は安泰のように思えても、新たな技術革新により従来製品をはるかに上回るものが出てきてしまうと、ビジネスが一気に傾いてしまう可能性があります。
自社の製品を根底から覆すような技術革新が起こっていないか、もしくはうまく技術革新を起こして、
新たなビジネスモデルを構築するチャンスがないかに目を光らせておく必要がります。
まとめ
PEST分析はマクロ環境の分析に関するとても有名なフレームワークです。
この分析手法は頻繁に行うことを前提に現状をみて分析するのではなく、この先5年くらいの長期にわたるトレンドを見ていくことが大切です。
長期にわたるトレンドを見ていくこととなるため、正確に予測することはとても困難ですが、
仮説であってもいいのでPEST分析を行い、4つの項目を検討することによって、会社を取り巻くマクロ環境に
大きな変化があった場合にすぐ行動ができる可能性が高まります。
自社の事業がどんな法規制に影響を受けるのかなどざっくりとでもいいので始めてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。