楽天は悪?独占禁止法とは
先日、楽天が送料無料を発表しました。
(一定額以上買い物した場合)
ユーザーとしては大変嬉しいことですが、
ショップ側としては実質送料負担をしなければいけなくなると、猛反発の状況です。
これを受け、独禁法違反の疑いで楽天に対し立入検査が始まったそうです。
さてここで、
“独禁法”ってよくニュースで耳にしますが、
みなさん詳しい内容をご存知でしょうか?
独禁法は、”どっきんほう”と読みますが、
「独占禁止法」の略です。
ぼやってイメージはできるけど詳しくはわからない、
今回はそんな独占禁止法についてまとめてみたいと思います。
独占禁止法とは
概要
独占禁止法にはまだ、少々長めの正式名称がありまして、
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
といいます。
この法律には以下のような目的があります。
公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすること
ちょっと説明します。
ボクたち消費者は安くていいモノが欲しいと思っています。
一方売る側(企業)は、高く売れた方がもちろん嬉しいです。
でもライバル企業がいるから価格や品質面で競争が起こり、結果、絶妙な価格が保たれています。
普通はこういう自然な競争の中で、企業は売上を伸ばすために、自ら創意工夫を凝らすことができます。
そしてこれは回り回ってボクたち消費者を守ることに繋がります。
しかしどうでしょう。
めちゃくちゃ権力を持った、市場を支配するような企業が現れたら
みんなその企業の動向を伺い、自由に値段も決められず、”自然な競争”というシステムが壊れてしまいます。
そんなジャイアン企業を見張り、時には罰して、自然な競争環境を守ることがこの「独占禁止法」の目的です。
管轄
“独禁法の疑いで調査が始まった”
と書きましたが、誰が調査するのでしょうか。
独占禁止法の運営は、「公正取引委員会」という機関が担っています。
この公正取引委員会というのは、
独占禁止法を運用するために設置された機関です。
国の行政機関には,○○省や〇〇庁と呼ばれるもののほかに、「行政委員会」と呼ばれる合議制の機関があります。
公正取引委員会は,この行政委員会に当たります。
位置づけとしては、内閣府の外局として、内閣総理大臣の所轄の下に設置されています。
他から指揮監督を受けることなく、独立して職務を行っていますので、
社長直轄の”特命係長”みたいなイメージです。
なんかカッコイイですね。
違反するとどうなる?
実際の流れ
まずは、いざ独占禁止法の疑いがかけられたときにどんな流れでコトが進むのか整理します。
①端緒
要はきっかけですね。
わかりやすいのが、通報や訴え。
今回の楽天も、出店者たちが加盟する団体が公正取引委員会に.、
“これアカンて、なんとかしてくれよ”
という署名を出したことがひとつのきっかけとなったようです。
②調査
その後実際に調査が入ります。
公正取引委員会は、「犯則調査権限」というものをもっています。
これは、調査する必要があるときは裁判官の発する許可状により、臨検・捜索又は差押えを行うことができるというもので、かなり強いものとなります。
また、調査により犯則の心証を得たときは、検事総長に告発を行います。
③処分
調査により違反が認められた場合には、処分を下します。
処分の内容は下記の2パターンですが、詳細は後述します。
・排除措置命令
・課徴金納付命令
④訴訟
処分に対して事業者が”納得いかんよ!”となれば訴訟となり、最終裁判で処分が決まります。
上記をまとめたのが下記の図です。
(公正取引委員会HPより)
罰則の内容
それでは下される可能性のある処分の内容について見ていきましょう。
まず、公正取引委員会では、違反行為をした者に対して、その違反行為を除くために必要な措置を命じます。
これを「排除措置命令」と呼んでいます。
要は、”こういうとこがアカンからすぐ直せ”という命令です。
また、私的独占、カルテルなどの不公正な取引方法については、
違反事業者に対して、課徴金が課されます。
悪質だったらお金も取られるということですね。
さらに、こういう悪質な取引方法を行った企業に対して、被害者は損害賠償の請求ができます。
この場合、企業は有無を言わさず責任を取る必要があります。
これを無過失損害賠償責任と言います。
ちなみに、カルテル、私的独占などを行った企業や業界団体の役員に対する罰則も定められています。
まとめ
今回の調査がどう転ぶかはわかりませんが、
イチ消費者の観点で言うと、冒頭にも述べたとおり、
送料無料はただただ嬉しいということ。
あとはシンプルでわかりやすいということですね。
個人的な意見ですが、
同じものがAmazonにもあるとき、楽天で送料無料のモノがなかったらAmazonで買うことが結構あるので、
そういう客を取り込むことができればパイが増え、
出店者にもメリットが出るという考え方もできるんじゃないかなと思います。
ただ、こればっかりは蓋を開けてみないとわからないですね。
短期的には出店者の負担は増えると思いますし。
結果を注視しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。