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その設備投資大丈夫?? その2

以前のブログで戦略的意思決定の設備投資について、その意思決定を行う際の検討方法として一番わかりやすい回収期間法を紹介しました。

その設備投資大丈夫??

今回は投資の意思決定を投資した金額がいつ回収できるのか、だけではなく、投資によって得られる利益の面に着目して判断する方法を見ていきたいと思います。

投下資本利益率

投下資本利益率法は「設備投資によってどれだけの利益を生み出せるか」を測定する方法です。
設備投資の際には以下の計算式で表すことができます。

投下資本利益率(ROIC)=利益増加額÷設備投資額(自己資本+負債)

要するに、「増える利益÷使ったお金」が投下資本利益率です。

投下資本利益率法によって算定された利益率を、借入利子率や目標利益率などと比較して、設備投資を行うかどうかの判断材料にすることができます。

例えば、投下資本利益率が2%の設備投資をするかどうか判断する場合に、設備投資に必要な資金が全額借入金で、その利子率が3%であれば、設備投資によって得られる利益が資金調達に係るコストを下回っているので、投資はしないという判断になります。

メリット

投下資本利益率法の最大のメリットは、設備投資を行う前にその投資案件から得られる収益性を判定できるという点です。

しかし、設備投資を検討している段階では増加する利益の金額は確定していないため、あくまでもその時点での予想増加利益を基準に計算することになります。

デメリット

投下資本利益率法のデメリットは、キャッシュフローという考え方が無いため、投資額がいつの時点で回収されるのか、ということについては考慮されていないという点です。
この部分に関しては前回紹介した「回収期間法」と組み合わせて設備投資案件を評価することで、双方のデメリットを補い合うことができます。

正味現在価値法

正味現在価値法(NPV法:Net Present Value)は、前回のブログで紹介した回収期間法や上記の投下資本利益率法とは違って、資金に対して利子などの時間価値を考慮して計算する方法です。

正味現在価値法において重要となる現在価値は、「将来的に投資によって入ってくるお金の現在価値」という意味です。

現在価値の算定式は以下のようになります。

PV(現在価値)=将来的なキャッシュインフロー/ (1+利率・割引率)n年後

恐ろしくわかりにくいと思います、、、

例えば、年間での利率が3%の投資案件があった場合に、1年後に100万円のキャッシュインフローがあるとすると、
その100万円の現在価値は、上記の式に当てはめると97万873円となります。

投資案件を利率3%と定期預金だと考えると、97万873円を銀行に預けると、1年後には100万円になるため、
現在の97万873円は1年後の100万円と同じ価値であると考えましょう(利率3%の場合)、ということです。

正味現在価値(NPV)は、このPV(現在価値)から投資額を引いて求めます。

NPV(正味現在価値)=PV(現在価値)-投資額

基本的には、「NPV>0」であればその設備投資案件については投資を行う価値があるという判断ができます。

複数の設備投資を検討している場合は、NPV(正味現在価値)の値が最も高い投資案件を選択することがよいと考えられます。

メリット

正味現在価値法のメリットは、上述したように貨幣の時間的な変動や、金利を含めた投資効果を測ることができる点です。

デメリット

正味現在価値法のデメリットは、見ていただけばわかるように、計算式が回収期間法や投下資本利益率法よりかなり複雑なところや、PV(現在価値)の計算で必要な割引率の設定基準があいまいという点です。

割引率の設定に正解はありません。

先ほどは定期預金の利率で考えましたが、その時々に応じて暫定的に設定して計算する必要があります。

まとめ

大きなお金を動かすときの判断はとても難しく、不安が付きまとうものだと思います。

ただ、こういった設備投資の際の判断方法を知らないで設備投資を行うよりは、様々な方法により数字という具体的な指標によって検討をしたうえで設備投資の判断をしたのでは、不安の種類が違うと思います。

多くの不安を抱える経営者にとって、どうしようもない不安は受け止めてもらわなければなりませんが、取り除ける不安はすべて取り除くことが精神衛生上よいことなのではないでしょうか。

KUMAは会計士・税理士ですので、ご要望いただければ、もちろんこれらの設備投資に関する意思決定のお手伝いをさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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