新型コロナウイルス感染症により多くの会社がダメージを受けています。
今直接的な売上減少などのダメージを受けていない会社でも、将来のことを考えると何かを変えていかないといけないと考えている経営者の方も多いかと思います。
ただ、なかなか人は新しいことをする、現状を変えるということを積極的に行うことはできません。
もしあなたが経営者じゃなくても、何かチームのリーダーのポジションにいるのであれば、ぜひコッターの変革の8段階プロセスを意識しながら変革を進めてみてください。
変革の8段階のプロセス
1980年代以降にアメリカの会社は大規模な変革に取り組んでいました。
新技術の導入、戦略の大転換、技術革新の促進、事業の再編、社風の改革、M&Aなど様々な方法を使って変革をしようとしていました。
しかし、多くの会社で大規模な変革は失敗に終わりました。
なぜ失敗したのか?
これらの事例を検証し研究した結果、会社が組織変革推進させるためには8段階のプロセスが必要であるとコッターは提唱しています。
そもそも変革が失敗するのは、変革を行う過程で8つのつまずきの石があるからです。
つまずきの石は以下の8つです。
1.内向きの企業文化
2.社内派閥
3.相互の信頼感の欠如
4.官僚主義
5.社内外に対しての傲慢な態度
6.中間管理職のリーダーシップの欠如
7.不確実に対する恐れ
8.不活発なチームワーク
皆さんの会社でも思い当たる節があるのではないでしょうか?
人間関係や企業風土に何か変化をもたらすことを阻害するような要因が盛りだくさんです。
これらのつまずきの石を回避するために必要なものが8段階のプロセスで、その内容は次の通りです。
①危機意識を高める
②変革推進のための連帯チームを築く
③ビジョンと戦略を生み出す
④変革のためのビジョンを周囲徹底する
⑤従業員の自発を促す
⑥短期的成果を実現する
⑦成功を生かして、更なる変革を推進する
⑧新しい方法を企業文化に定着させる
目次
①危機意識を高める
市場と競合他社の状況を分析して、自社にとっての危機や絶好の成長機会を見つけて、それを検討していくことによって、変革に関わっていく関係者に危機意識を生み出すことができます。これがまず、変革を成功させる第1ステップになるとコッターは強調しています。
現状をしっかりと根拠のある数字などで分析して、このままでは自分たちの会社はまずいのだという認識を持ってもらう、つまり、当事者意識を関係者に持ってもらうことが大切ということです。
②変革推進のための連帯チームを築く
変革をリードするための十分なパワーを備えたチームを作っていくために、変革の担い手を集めていくことが必要です。変革推進チームには、変革の主導に必要となるスキル、人脈、信頼、評判、権限などを持っている人を集めることが望ましいです。
③ビジョンと戦略を生み出す
変革に導くためにビジョンを生み出し、ビジョンを実現するための戦略を立案する必要があります。
過去に成功した変革では、変革推進チームが簡潔で心躍るビジョンや戦略を策定していることが多いです。
変革には人を動かすことが大切なので、分かりやすくワクワクするようなメッセージを出せると完璧です。
④変革のためのビジョンを周囲徹底する
いいメッセージができたとしても伝わらなければ意味がないので、いくつものチャネルを通して全員に伝え、ビジョンや戦略を周知徹底する必要があります。あらゆる手段を活用して、継続的に新しいビジョンと戦略を伝えると同時に、変革推進チームのメンバー自らが、従業員に期待する行動のモデルとなることも重要です。
⑤従業員の自発を促す
ビジョンが周知徹底されることで自発的に行動する人が増えていくように、変革を阻む障害を取り除くことが重要です。障害となりうる組織構造やシステムを変革することで、従業員がリスクを取り、今までに遂行されたことのないアイデア、活動、行動の促進が可能となります。
⑥短期的成果を実現する
業績上で目に見える短期的成果を生む計画を立案して、実際に短期的成果を生み出し、これらの短期的成果に貢献した人々をはっきりとさせて、十分な報酬を渡すことで、更なる従業員の自発的な行動を促します。
⑦成功を生かして、更なる変革を推進する
短期的な成果をテコとして変革に勢いをつけ、変革のビジョンに馴染まないシステム、構造、制度を変革していきます。また、変革ビジョン推進に貢献する人材の採用、昇進、能力開発を行い、当初の変革を定着させていくことが大切です。
⑧新しい方法を企業文化に定着させる
変革ビジョンに基づいた新しい方法と会社の成功の関係を明確に示して、各階層のリーダーが変革を根づかせていきます。また、リーダーや後継者の育成を進めていくことで、変革を企業文化として定着させることで変革前の状況に逆戻りしてしまうことを避けることができます。
まとめ
この8段階のプロセスを1つ目から順番に進めていくことが重要で、途中のプロセスを飛ばしてはいけないとコッターは強調しています。
また、変革を実行するには先導する人の強いリーダーシップが必要です。
生半可な覚悟では会社を変革するということはできないので、変革を「した方が良い」ではなく「しなければならない」と強く認識することが大切です。
時代は常に移り変わり、常識も変わっていきます。今回の新型コロナウイルス感染症がそれを今までよりも強く印象付けたのではないでしょうか。
現状維持でやっていける状況ではなくなった今、何かを変えようと思っている人の少しでも役に立てばなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。