他者を知るのは理解 自己を知るのは智恵
これは老子の言葉で、なんとなくいいなぁと思っていた言葉の一つです。
智恵という言葉は「正しく物事を認識し判断する能力」を意味します。
正しく物事を認識し判断するということは何事においても重要なことだと思います。
ビジネスにおいても、特に会社を経営している経営者の方には、今自分の会社がどのような状態になっているのかを「正しく認識し」、また、今後どのようにしていけばよいのかを「判断する」能力が求められます。
本日は自分の会社がどのような状態になっているのかを「正しく認識」するための経営指標についてのお話です。
経営指標とは?
自分の会社の状態を知るための経営指標とは何を指すのか?というところから始めます。
経営指標とは、経営や会社の状態を表す指標のことです。経営指標をみることで会社の収益力や成長を把握することができます。
自分の会社の経営状況を経営者が把握できていないことが原因で、経営判断が遅れてしまい、業績が大きく傾いてしまったり、倒産に追い込まれてしまう企業も少なくありません。
つまり、経営者が適切な経営判断をするためにも、経営指標はとても重要な要素です。
経営指標の種類
一口に経営指標と言っても、会社の何を知りたいのかによってその種類は分かれます。
収益性の指標
収益性の経営指標は、会社が利益を得るために使った費用に対して、どれだけの利益が出ているのかを測る指標です。
収益性の経営指標を知ることで、自分の会社の収益力を知ることができ、その結果、適切な経営判断を下すことができます。
①総資本経常利益率
総資本経常利益率は、ROIとも呼ばれ、投下資本(総資産)をどれだけ効率的に運用して経常利益に結び付けているかを示す経営指標です。
総資本経常利益率が高いと、資本が効率よく使用されていると判断できます。
総資本経常利益率が低い場合には、資本を無駄に使ってしまっている可能性があるので注意しましょう。
100万円の元手があって1万円稼ぐ人と30万円稼ぐ人とでどっちが効率よく稼いでいるかは一目瞭然かと思います。
総資本経常利益率は以下の式で求めることができます。
「総資本経常利益率=経常利益/総資本×100」
②売上高総利益率
売上高総利益率は、売上高に対する売上総利益の割合を示す指標です。
粗利益率と呼ばれることもあり、会社のおおよその利益を把握することができます。
売上高総利益率は以下の式で求めることができます。
「売上高総利益率=売上総利益/売上高×100」
もし、売上高総利益率が低い場合、商品の価格設定が適切でない可能性が高いです。
③売上原価率
売上原価率は、売上高に対する売上原価の割合を示す指標です。
売上は売上原価率と売上高総利益率で構成されているため、売上原価率が高い場合は、売上に対して売上総利益率が低いということになるため、収益性が低いということになります。
売上原価率は次の式で求めることができます。
「売上原価/売上高×100」
売上原価率が高い場合には、業務を外注先に委託したりRPA等を用いて業務を自動化して効率化を図ることも1つの手です。
④売上高営業利益率
売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示す指標で、自分の会社の営業活動が効率的に行われているかどうかを確認することができる経営指標です。
売上高営業利益率が高いということは、営業効率が良いと判断でき、反対に売上高営業利益率が低い場合は、自社の営業効率が悪い、もしくは営業にかかっているコストが高すぎる可能性があります。
売上高営業利益率は次の式で求めることができます。
「売上高営業利益率=営業利益/売上高×100」
⑤売上高販管費率
売上高販管費率は、売上高に対する販売費と一般管理費の割合を示す指標です。
売上高販管費率が低いと、経営にかかっているコストが低いと判断することができ、コストパフォーマンスンの高い経営ができていると考えられます。
つまり、売上高販管費率は会社の経営効率を確認することができる指標と言えます。
売上高販管費率は次の式で求めることができます。
「売上高販管費率=販売費一般管理費/売上高×100」
⑥自己資本当期利益率
自己資本当期利益率は、ROEとも呼ばれ、自己資本に対して利益をどれだけ上げたかを示す指標です。
街の中小企業を前提としてざっくりと自己資本について説明すると、会社の経営は経営者が出した元手(資本金)と会社が今まで積み上げてきた利益(利益剰余金)と銀行等からの借入で行われていると考えることができます。
自己資本はこのうち返済しなくてもよいもの、つまり、経営者(自己)のお金(資本金と利益剰余金)のことを指します。
自己資本当期利益率は次の式で求めることができます。
「自己資本当期利益率=当期純利益/自己資本×100」
同様の利益を出している会社でも借入金の占める割合によりROEがぶれることがありますので、「①総資本経常利益率」と組み合わせて指標をみる必要があります。
下記のA社とB社を例にして説明します。A社もB社も純利益が1億円だと仮定します。
A社の財務内容
借金:9億円
自己資本:1億円
B社の財務内容
借金:0円
自己資本:10億円
A社のROE=純利益1億円÷自己資本1億円=100%
B社のROE=純利益1億円÷自己資本10億円=10%
この場合、ROEだけを見るとA社の方が優れていることになりますが、財務内容を見てみるとB社のほうが無借金経営ができており、健全性が高いということになります。
ROEが高いということは場合にもよりますが、財務健全性が損なわれている可能性もあるという点に留意が必要です。
まとめ
一つの指標だけでは会社の状態について正しく判断を下すことはできません。いくつかの指標を組み合わせることや、会社にとって一番重要なものがわかる指標を正しく選んで活用することが大切です。
KUMA Partners.,Ltd.ではこういった経営指標を用いた経営のお手伝いも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
収益性の指標以外にもあと4つほどあるのですが、あまりにも長くなってしまうため今日はここまでとしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。