中小企業を守る『下請法』その内容をざっくり解説します!
以前、独占禁止法について解説しました。
今回は、独占禁止法の補完法として制定されている「下請法」について勉強したいと思います。
概要
下請法は、下請事業者に対する親事業者の不当な取扱いを規制する法律です。
正式名称を、「下請代金支払遅延等防止法」といいます。
これを見ればなんとなく内容が見えてきますね。
改めて要約すると下請法は、
下請事業者に対してきちんとお金が払われるように、親事業者を取り締まる法律
です。
わかりやすく自動車メーカーを例にします。
車を作るためにはたくさんの部品が必要ですが、その全てを自動車メーカーが作る訳ではなく、他の会社へ製造を委託しています。
このとき、一般的には発注者(この場合はメーカー)の方が立場は偉くなります。
特に、”巨大なメーカーと町工場”のような構図では、
下請事業者にとってはメーカーからの発注がなくなれば売上がなくなってしまうというようなこともザラなので、
メーカーがその立場を利用して、下請事業者に無理難題を言ったり、約束した支払いをしなかったりする可能性があります。
そんなことが起きないよう情報収集を行い、取り締まるのがこの法律の目的です。
管轄
独占禁止法と同じく、「公正取引委員会」が運用を行なっています。
そして下請事業者、つまり中小企業を守る法律なので、中小企業庁も協力して運用しています。
彼らがどうやって情報収集をしているかと言うと、
そのひとつの方法として定期的に実施される書面調査があります。
下請取引の状況について答えるものですが、
親事業者の場合、報告を行うのは”義務”となっています。
規制内容
親事業者に対しては、義務と禁止事項が定められています。
まず、そもそも親事業者と下請事業者の区別ですが、
資本金の規模と取引の内容で定められています。
取引内容は大きく以下の3種類に分けられます。
①製造・修理委託
②情報成果物作成委託
③役務提供委託
これらの業態ごとに、資本金が一定金額以上か以下かで親事業者になるかどうかが決まります。
そして親事業者に該当した場合、
4つの義務と11項目の禁止事項が課されます。
(詳細は以下の図をご覧下さい)
※公正取引委員会HPより
ここでポイント。
親事業者は、この禁止事項について、
・たとえ下請事業者の了解を得ていても
・たとえ違法性の意識がなくても
これらの規定に触れるときには、下請法に違反することになるので十分注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
下請法ってよく聞くけどよくわかってないという人が多いのではないでしょうか。
でも、最後のポイントにある通り、
無意識に違反を犯してしまう可能性もあります。
特に親事業者に該当する会社は十分に内容を理解しておく必要があります。
私たちのような専門家も、クライアントの事業内容を理解する際にこういったことにもアンテナを張っておきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。