新しい事業はヒットするのか?フェルミ推定で予想してみよう
緊急事態宣言が解除され、経済活動は徐々に再開されつつあります。
ただ、人が集まってはいけない雰囲気は消えず、おそらく今後も継続していくだろうと思います。
今までは、
ラーメン屋は行列を作り
スーパーは目玉商品の周りに人だかりを作り
夏フェスはもみくちゃになることが最高でした
それができなくなり、業種に関係なく、商売の方法を考え直さないといけないと思われた方も多いのではないかと思います。
新たなビジネスを始める場合、
その商売にどれだけお客さんが来てくれるのか、言い換えると、「市場規模はそれくらいなのか」
が非常に重要になります。
しかし、これを予測するのは容易ではありません。
そんなあなたに、今回は、市場予測のヒントとなる「フェルミ推定」という考え方を紹介したいと思います。
フェルミ推定とは
フェルミ推定とは、一言でいうと「分からないものをざっくり計算しようという思考法」です。
あなたが何かしらの数値情報が欲しいと思ったときに、その数値が簡単に手に入らない、もしくは公には存在しない場合、
手の届く範囲にある、限られた情報をもとに概算値を推計する考え方です。
ちなみに、”フェルミ” とはこれを考案したヒトの名前です。
具体的には、
“日本にある電柱の数は何本か”
“日本で飼育されている犬は何匹いるか”
みたいな、一見途方もないような問いに論理的な答えの道筋を作ります。
外資系企業やコンサルティング会社の採用試験なんかでよく出題されます。
論理的思考力や考え抜く力がある人かどうかを判別するひとつの方法です。
また冒頭でお話したように、市場予測など、ビジネスのあらゆる場面でも活用できますので、
フェルミ推定は、就活生を含むビジネスパーソンにとって非常に大事なスキルと言えます。
やり方
簡単な事例で、フェルミ推定を実際にやってみましょう。
先ほど挙げた問い、
“日本で飼育されている犬は何匹いるか”
について考えていきたいと思います。
式を作ってみる
まずは、計算式を作ります。
シンプルな式です。
日本で飼われている犬を数を知りたい場合、例えば下記のような式が作れます。
『①日本の世帯数×②犬を飼っている割合×③飼育数』
当てはめてみる
先ほどの式に、自分が知っている情報や、予想数値を当てはめてみましょう。
①の「日本の世帯数」は、分解すると『日本の人口÷世帯人数』なので、
平均世帯人数はだいたい3人と考え、
1億2,000万人(日本の人口)÷3人=4,000万世帯
となります。
次に、②の「犬を飼っている割合」についてはもう直観です。
ご近所さんの状況なども踏まえ、1/5くらいの割合で犬を飼っている家庭があると予想し、②は20%とします。
最後に③の「飼育数」も予想数値となります。
だいたい1匹の家庭が多いが、ごくたまに複数飼っている人もいるため、平均すると1.2匹くらいかな?
と適当に置いてみました。
このような考えをもとに、計算をしてみましょう。
①日本の世帯数×②犬を飼っている割合×③飼育数
=4,000万世帯×20%×1.2頭
=960万頭
出ました。これが正しいのかはさっぱりわからないですが、まずは一つの答えが出せました。
別のアプローチから計算してみる
自分なりの答えがひとつ出せたのは良いことですが、比較対象となる計算結果があればなお良しです。
よって、可能であれば別のアプローチからの計算を試みましょう。
今回の問いの場合、
『ドッグフードの販売額÷平均単価』
『犬の出生数×平均寿命』
などなど、考え得る式をいくつか用意して、入手できそうな情報を当てはめて計算をし、近しい数値になればより説得力があるでしょう。
今回そこは割愛をして、いよいよ上記の概算数値の答え合わせをしてみたいと思います。
一般社団法人 ペットフード協会の資料に正解がありました。
正解は、
890万頭です。
おそらくたまたまでしょうが、すごく良い結果となりました。
ポイント
概算とはいえ、フェルミ推定によって算出した数値が実際とかけ離れていては意味がありません。
よって、推定値を実態に近づけるために次の3つのポイントをおさえておきましょう。
まずは世の中の基礎数値を抑えておくこと。
先ほど、日本の人口が1億2,000万人と、何の前触れもなく置きましたが、
こういう基本的な統計数値はある程度頭に入っている方がよさそうです。
次に、上述した通り、クロスチェックが可能なら行うこと。
これができると、概算数値の信憑性が一気に高まります。
最後に、色んな人の意見を聞くこと。
1人で考えていると、思い込みや先入観で答えに偏りで出てしまいます。
採用試験など一人で答えを出さないといけない場面でない限り、
なるべく周りの人、特に自分とはバックグラウンドの違う人に意見を求めてみましょう。
まとめ
フェルミ推定をやるのは結構勇気がいります。
意気揚々と概算値を出して間違えていたらすごく恥ずかしいからです。
でも、間違っていてもいいと思うんです。
ビジネスは、何かしらの仮説を立てて行うことが重要です。
仮説を検証して間違えてそうだったら、また違う仮説を置けば良いだけです。
普段からこういう癖をつけておくと、ビジネスの色々な場面で役に立ちます。
特に、冒頭でもあった市場予測は、事業計画を作るのに必ず必要なので、
これを論理性をもって説明ができると銀行の融資も有利に進むなど、様々なメリットが出てくるでしょう。
KUMA Partnersでは、こういう考え方を活用した事業計画の策定やマーケティングプランの作成のサポートも行っております。
お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。