中小企業が勝てる戦い方がある!『ランチェスター戦略』を学ぶ。
ビジネスは戦争に例えられることがよくあります。
ただし、ある一点を除いて両者は根本的に全く異なります。
そもそも、戦争は終わらせることが前提である一方、ビジネスは継続することが前提だからです。
ではその共通する一点とは何か。
“競争相手に勝つための戦略が必要” だという点です。
そのため、多くの戦争論がビジネス、特にマーケティングにおいて使われています。
本日ご紹介する『ランチェスター戦略』もそのうちの一つです。
ランチェスター戦略とは
ランチェスター戦略は、「ランチェスターの法則」をビジネスにおける企業どうしの戦い方へと応用し、その戦い方をモデル化したものです。
ランチェスター戦略の元となるランチェスターの法則は、今から100年近く前に、イギリスのランチェスターさんによって提唱されました。
当初は軍事目的に利用されており、戦う2つの軍隊の戦闘力を数式にモデル化されたものでした。
ランチェスター法則には2つの法則があり、それぞれ「ランチェスターの第一法則」「ランチェスターの第二法則」と呼ばれていますが、
ここで詳細に解説することはしません。
今回は、これらの法則から導き出された『ランチェスター戦略』、つまり “戦い方” に絞って解説をしたいと思います。
ランチェスター戦略の概要
ランチェスター戦略はどういうものか、一言でいうと、
「強者」と「弱者」では戦略に違いがあるから、それぞれ適切な戦い方をしようね
というものです。
ここで言う「強者」と「弱者」は、売上高や人員規模やではなく、「市場シェア」で判定します。
具体的に言うと、
強者は市場シェア26.1%以上を有する者。それ以外は弱者です。
日産自動車のように超巨大な企業であっても、トヨタという業界トップがいる限り弱者となります。
つまり、市場シェア1/4超を占める圧倒的No.1とそれに追随する者たちでは、戦い方が異なるということ。
この定義に照らすと、世の中ほとんどが弱者ということになるため、
我々KUMAパートナーズを含め、世の多くの人たちが弱者の戦い方を知ることは非常に有用であると言えます。
よって、以下では弱者の戦略を手厚く、なるべくわかりやすく解説したあと、強者の戦略についても簡単に解説するという方式を取りたいと思います。
弱者の戦略
弱者の戦略は、とにかく差別化です。
なんとなく想像できると思いますが、絶対的な王者がいる以上、真正面からまともに戦っても勝てません。
No.1が手を出しそうにないところで勝負をすべきです。
ポイント
差別化する際のポイントをいくつかご紹介します。
まずは、ターゲットを絞ることです。
そして、一騎打ちを仕掛け、集中的に攻めること。
さらに、奇抜な作戦があれば、なお良しです。
戦略を立ててみる
前述した自動車を例にして、実際に戦略を立ててみます。
まず、車業界全体で勝負を仕掛けるのではなく、”SUV” というジャンルを狙います。
そのうえでさらに、トヨタのランドクルーザーに的を絞り、一騎打ちを仕掛けます。
車離れの時代、しかもエコの時代に、この大型車にトヨタがかけないであろう大量の予算を投入し、徹底的に攻めます。
しかもなんと、女性を狙うという奇襲作戦付きです。
広告戦略は、テレビCMで大勢にアピールするのではなく、SNSで、ターゲット層である「車が好きな女性」に直接売り込みます。
これで、”女性向けの大型SUV” というジャンルでトップに立てること間違いなしです。
と、イメージはこんな感じです。
もちろんこの場で考えた即席の戦略が上手くいくハズがありませんし、もっと入念に考える必要がありますが、
ご理解いただくための例だと割り切ってみて頂けると幸いです。
留意点
以上を踏まえた上で留意点をいくつか述べておきます。
まず、値段で差別化しては絶対にダメだということ。
価格は大手の方が強いため、価格競争に持ち込まれた瞬間、一瞬で負けてしまいます。
次に、あくまで顧客のことを考えて差別化を行うこと。
上記の例では若い女性向きの大型SUVを作りましたが、そんなもの誰も望んでいない可能性があります。
入念な市場調査が必要です。
そして最後に、きちんとした理念や、確かな技術をベースに戦略を考えること。
たまたま空いているこの市場を攻めようという短絡的な理由ではなく、
上記の例で言えば、「女性に運転のワクワクする楽しさを提供したい」という理念があった上で、
これを実現するための戦略であって欲しいと思います。
また、自社の高い技術を活かしたいという想いも非常に大事です。
日本の中小企業には、ここで勝負できる会社がたくさんあると思います。
以上が、弱者の戦略です。
強者の戦略
強者の戦略にも簡単に触れておきます。
強者の戦略は、弱者の戦略を徹底的にパクるです。
一見逆のように思えますが、これは「ミート戦略」といって、弱者の差別化戦略を封じ込めるためのものです。
経営の神様、松下幸之助の会社「松下電器」も「マネシタ電器」と揶揄されていたと言います。
他社が新しい商品を出せば、それをすぐさまコピーし、ちょっと良いところ足して大量に生産する。
こんな戦略をとっていたそうです。まさにランチェスター戦略です。
まとめ
ランチェスター戦略、理解できましたでしょうか。
あなたの会社経営にとって、何かのヒントが見つかれば幸いです。
私も、自身の経営に活かしたいと思います。
また、ここでは概要だけを、極端な例を使ってご説明しましたので、是非ご自身でも「ランチェスターの法則」から勉強してみてください。
新しい発見があると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。