「ロジカルシンキング」

コラム

論理的思考と言われビジネスの世界で極めて重要なものであると言われています。

かっこいい響きですよね!ぜひ習得したいところです。

今回はロジカルシンキングの神髄と言われている「MECE」についてご紹介します。

そもそもMECEとは何か?

 MECEは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」という英語を略した言葉で、「漏れなく、ダブりなく」という意味です。

例えば、日本をエリアごとに切り分けて考えるときにMECEであるかを判断すると、

・「東日本」「西日本」に切り分ける→MECEである

・「北海道地方」「東北地方」「関東地方」「中部地方」「近畿地方」「中国・四国地方」に切り分ける→「九州地方」が漏れているためMECEではない

・「東日本」「西日本」「関西」に切り分ける→西日本と関西にダブりがあるためMECEではない

というようになります。 

MECEの必要性

 ではなぜMECEというものが必要なのでしょうか?

ビジネスとはざっくりいうと「課題解決」であると言えます。

しかし現実の解決すべき課題はいくつもの要素が複雑に絡み合い、非常にわかりにくい状態であることが多いです。

複雑に絡み合い、何をどうしたらよいか分からない状態になっている課題を小さい要素ごとに分解することができれば、要素の一つ一つに集中し、解決策を検討し、
実行することが可能となります。

 実行に移すには小さな要素に分ける必要がありますが、小さな要素に分ける際に漏れがあると分解した要素をすべて解決しても全体の課題の解決にはつながらず、

また、ダブりがあると同じ作業に重複が生じるなど非効率が生じることとなってしまうため、MECEは非常に重要なものであると言えます。

MECEを用いるための2つのアプローチ

 MECEに物事を整理する方法として

「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」という2つがあります。

どっちが優れているというものではなく、それぞれのアプローチの特徴を理解したうえで、使い分けたり組み合わせたりすることが重要なポイントです。

 トップダウンアプローチ

 トップダウンアプローチでは、全体から要素を分解し、目的や課題にそった切り口で分類していきます。全体像が明確な場合や、分類方法が事前に想定しやすい場合に有効です。

後述する一つ一つ項目を羅列していくボトムアップアプローチに比べ、体系立てて物事を考えられるという強みがありますが、全体像がつかみきれない場合は整理が難しく、

分類レベルでの漏れが発生してしまう可能性があります。

3C分析などの代表的なフレームワークを活用するなどして、体系立ててMECEに分類できるようにしましょう!

ボトムアップアプローチ

 ボトムアップアプローチでは、要素をみんなで意見を出し合うブレインストーミングのような形で洗い出し、出た意見をグループ化していきながら、

全体像を把握していく手法です。全体像が不明瞭な場合や、どのような分類をすればよいか事前に分からない場合などに有効な方法です。

事前にどんな分類をしたらよいか分からない未知のケースでも検討が開始できる、という強みがありますが、出てくる意見に抜け漏れがあると、

分類としても漏れが生じてしまう可能性があります。また、分類の方法を間違えると重複も生じやすくなるので訓練が必要な方法です。

 トップダウンアプローチで最初に大まかな分類を考え、ボトムアップアプローチで分類に想定外の抜け漏れがないか確かめる、といった、

相互方向的なやり方ができるようになると、よりMECEの精度も向上していきます。

 MECEに考える4つの切り口 

MECEに物事を考える上で、「どのような切り口で物事をとらえるか」も重要なポイントです。要素を切り分けたとしても、その切り口自体に意味がないものであれば、優れたアイデアは浮かばないからです。

 課題や目的に併せて最適な切り方ができるように、切り口を考える上での4つのコツがあります。各切り口での違いがわかりやすいように、「企業Aの売上向上」という例を元に、それぞれの切り口で切った場合どうなるのかを紹介していきます。

①要素分解

「足し算型」「積み上げ型」とも言われる方法です。分解した要素の総和が全体となるようにする切り方です。「企業Aの売上向上」という例では、「食品の売上」「飲料の売上」などと分解することが考えられます。この切り口では、商品群ごとに現状分析や解決策を考えることが可能です。

 ②時系列・ステップ分け

時系列や段階で分解するやり方です。例えばイベントや企画の実施フロー、プロジェクトの実施スケジュールなどが該当します。「企業Aの売上向上」という例では、購買へのステップを「認知」「理解」「動機づけ」「購買」と分類します。この切り口では、ステップごとに現状分析や解決策の思案を行う事が可能です。

 ③対象概念

課題を対象的な概念によって分解する方法です。「企業Aの売上向上」という例では、「質と量」といった切り口から、売上向上のために「高価格商品の割合を増やす」か、「販売点数を増やす」かを検討していくことが考えられます。

 ④因数分解

掛け算型とも言われる方法です。「企業Aの売上向上」という例では、売上を顧客数×顧客単価×購入頻度と因数分解し、各パラメータについて現状分析や解決策の検討を行うこととなります。

 まとめ

 大きく複雑な課題を、小さくシンプルな要素に切り分けていくことで、課題解決に取り組めるようになります。この切り分け方の指針となる概念がMECEです。

注意点としては、どの視点で考えるかを明確にする事、重複が出ないように異なる切り口を混在させないこと、重複より漏れがない方が重要なこと、MECEにこだわりすぎないで成果にフォーカスすることが挙げられます。

 ぜひ何かを考えるときの参考にしてみてください。

 最後までお読みいただきありがとうございました。