ストックオプションとは?活用法を解説します!
ストックオプションとは?
「ストックオプション等に関する会計基準」によると、
「ストックオプション」とは、自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に、報酬として付与するものをいう。
と定められています。
なんだかよくからないのでもう少しわかりやすく説明しますと、
「ストックオプション」とは、従業員などに対して報酬として与える、株式を取得する権利です。
そう、“報酬”であり、”権利“なんです。
この権利を付与されたり行使したりするタイミングや金額などの条件は様々に設計が可能で、
それぞれの会社に合ったものを発行できます。
ストックオプションの効果
会社は自社の価値を高めたいものです。
ストックオプションは、他のメリットも享受しながら企業価値を高めるための手段のひとつであるため、
その効果を狙って利用されます。
それぞれ見てきましょう。
付与時にお金がいらない
ストックオプションは将来の権利なので
報酬とはいいつつ、その時点でお金が出ていくことはありません。
特に、創業間もないスタートアップなど、お金がないけど従業員に報いたいと考えている会社がよく活用しています。
従業員のモチベーションアップ
ストックオプションは“報酬”です。
例えば、
従業員が株式を1,000円を取得できる権利をタダでもらった場合、
将来株価が1万円になったときにその権利を行使すれば、9,000円得することができます。
従業員にとっては株価が上がれば上がるほど得するので、会社の価値を高めようというモチベーションが湧くのです。
従業員の定着
ストックオプションを行使する条件は様々に設計が可能です。
例えば、「上場した後にしかこのストックオプションは使えない」といった条件を設定しておくと、
従業員からすると、上場しない限り報酬を得ることはできないので、
上場までに会社を辞めてやろうという気を起こさせにくくできます。
とはいえ、上場後すぐにストックオプションを使うだけ使って辞められても困るので、
実務上は、「上場後3年間は行使できない」といった条件を定めている会社が多いです。
税金面から見たストックオプション
ストックオプションは「報酬」としての要素があるため、受け取った側で何かしらの税金がかかります。
税金がかかるタイミングは3つあります。
- 付与されたとき
- 行使して株式を取得したとき
- 株式を売ったとき
税金面から見たとき、ストックオプションは大きく二つに分けられます。
どちらに分類されるかで税金がかかるタイミングと、かかる税金の種類が変わります。
税制非適格ストックオプション
税制非適格ストックオプションとは、税制優遇措置が設定されていないストックオプションのことです。
タイミングごとの税金のかかり方は以下の通りです。
- 付与されたとき→税金はかからない
- 行使して株式を取得したとき→給与所得(所得税)
- 株式を売ったとき→譲渡所得(所得税)
付与されたときには税金はかからないですが、行使したとき・株を売った時はそれぞれ違う種類の税金がかかります。
税制適格ストックオプション
税制適格ストックオプションとは、税制の優遇措置を受けることができるストックオプションのことです。
タイミングごとの税金のかかり方は以下の通りです。
- 付与されたとき→税金はかからない
- 行使して株式を取得したとき→税金はかからない
- 株式を売ったとき→譲渡所得(所得税)※②の分とまとめて課税
税制適格ストックオプションに該当すると、ストックオプションの権利行使をした時点では課税はされず、株式を売った時にまとめて税金がかかります。
一般的に、税率は譲渡所得の方が低いので、税制適格の方がメリットがあります。
ただし、税制優遇措置を受けるには、対象者や権利行使期間などについて、下記のすべての要件を満たさなければなりません。
<税制優遇措置を受けるための要件>
付与対象者が、自社の取締役・執行役または使用人およびその相続人であること(一定の大口株主およびその特別関係者を除きます)
付与対象者が、発行株式総数の50%超を直接または間接に保有する法人の取締役、執行役または使用人およびその相続人に該当している
権利行使期間が、付与決議の後2年を経過した日から、付与決議の日の後10年を経過するまでのあいだであること
権利行使価格が、ストックオプションについての契約締結時の1株あたりの価額以上であること
権利行使価格が、年間1,200万円を超えないこと
まとめ
ストックオプションは、従業員や役員のモチベーションの源泉となることで、従業員と会社(経営者)のベクトルを一致させ、、会社の業績向上に寄与する可能性があります。
ただし、税金や法律など、考慮しなければいけないことも多いですし、
従業員が受ける報酬も、長期的な目線で考えていかなければなりません。
ストックオプションの導入にあたっては、適切な制度設計を行う必要がありますので、
制度を理解し、専門家と相談しながら検討するようにしましょう。