【源泉徴収】その仕組みと留意点を解説します

コラム

コロナウィルスの影響で確定申告の期限がひと月延びました。

みなさま申告は完了してますか?

 

といってもこの確定申告、

ボクには関係ないや

と思っている人が多いのではないでしょうか。

そう、国民の大半である、いわゆる”サラリーマン”は通常確定申告が必要とならず、申告なんて無縁なものとなっています。

その理由のひとつが、「源泉徴収」によって給与から税金が予め天引きされているからです。

 

今回はそんな「源泉徴収」について解説したいと思います。

 

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や報酬等を支払う際に、支払う側が事前に税金を差し引いておき、それを国等に納付する制度です。

 

源泉徴収の目的は、効果的かつ効率的な徴税手続の実現です。

つまり、源泉徴収を実施することで、国としては税金を取りっぱぐれることが少なくなり、また、確定申告時期に税務署に人が殺到するという事態を緩和できます。

 

ちなみに、これは源泉徴収は義務なので、支払う側の責任できっちり徴収する必要があり、この義務を怠ると罰則があります。

 

源泉徴収が必要な場面

どんな場合に源泉徴収が必要になるのでしょうか。

主要な場面を3つ、見ていきたいと思います。

 

給与を支払った場合

冒頭でも述べたとおり、給与は源泉徴収が必要な代表例です。

会社から従業員へ給与や賞与を支払うときには、予め税金を差し引いて支払われます。

 

そして年末調整をすることによって、従業員個人は特に深く考えることなく税金の徴収が終わってしまうというわけです。

 

税金の計算は複雑なんですが、給与の場合は金額が大きくブレることもなく計算方法がシンプルなので、

金額に応じて徴収額をパターン化でき、源泉徴収によってそこそこ正確な税金が徴収できます。

 

ちなみに、源泉徴収額をパターン化するために、こんな表を使います。

 

個人の専門家等に支払った場合

ボクたち会計士・税理士や弁護士のうち個人で活動する人、プロスポーツ選手、作家さんなど、専門的な業務に対して支払う報酬については源泉徴収が必要です。

要は、

こういう人たちはちゃんと申告せえへん可能性があるから事前にちゃんと税金引いといてや

ということだと思います。(私見です)

 

徴収する税額は職種や支払う金額によって異なり、別途定められています。

 

ホステスさんに対する徴収額なんかはおもしろいので興味のある方は一度見てみてください。

1日当たり5千円の経費が認められているという、ちょっとした優しさを含んだ制度になっています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2807.htm

 

昨今では人材確保が困難になっていることから、外注の需要も増えていますが、

一般的な業務(事務作業のアウトソーシングや派遣)ではなく、専門性が高い業務に関する外注に関しては源泉徴収が必要なので留意が必要です。

経営コンサルティングなども、個人に依頼する場合には対象となります。

 

海外の法人・個人に支払をする場合

日本の税法は、基本的には日本に住んでいる人が対象です。

ただし、日本に住んでない人や外国法人についても、

日本で稼いだお金については日本で税金を払ってねという制度になっています。

 

そこで、海外に住んでいる人からもきちんと税金を徴収できるよう、一定の海外への支払いについては源泉徴収を義務付けています。

 

ちなみに、「日本に住んでない人」とか「日本で稼いだお金」の具体的な定義や判定については、

それだけで本が書けるくらい難しく奥が深いので、ここでは割愛します。

 

また、租税条約によって別の取り決めがされていれば、日本の税法よりそちらが優先されるため、

国ごとに対象となる支払いや金額が違ってきますので留意が必要です。

 

まとめ

源泉徴収というのは非常に良くできた制度で、日本以外でもたくさんの国で採用されています。

ただし、『源泉徴収×年末調整』というカタチをとってしまうことで、

給与収入オンリーの人は特別な事情がない限り確定申告をすることもなく、税金を払っているという実感がなくなり、

なんとなく税金というものが遠いものに感じてしまう要因になっているんじゃないかと思います。

絶対的にどうすべきという話ではないですが、税金に関しては知っておいた方が良いことがたくさんあるので、興味だけでも持つことが大事かなと個人的には思います。

 

また、最後に出てきた海外の法人・個人に対する源泉徴収については、

制度は非常にややこしい一方、漏れた場合には罰則が科されてしまいます。

該当するかもと思われた方は早い目にお近くの専門家に相談していただくことをオススメします。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。