【敵意帰属バイアス】感じ方は人それぞれ
友人や働いている会社の同僚や後輩、営業先のお客さんと話をしているときに、自分は何の気なしに言ったことであっても、
相手が怒り出してしまったという経験はないでしょうか。
本当に自分が気付いていないだけで失礼なことを言っている可能性もありますが、そうでなければ
その相手には「敵意帰属バイアス」が影響している可能性があります。
これを知っていると今までなぜ怒られたのかともやもやしていたものが、少しではありますがすっきりとして
相手とのかかわり方が変化し、人間関係を良好に保つことにつながるのではないかと思います。
敵意帰属バイアスとは?
敵意帰属バイアスとは、相手の言動が、「敵意」や「悪意」によるものだと認識してしまう心理的傾向のことを言います。
ただ普通に話をしているだけなのに相手から「否定された」と感じる、
相手はただ質問をしただけなのに「嫌味を言われた」と感じる、
といったような悪く言えば被害妄想のような感覚のことです。
敵意帰属バイアスの原因
なぜそのように相手の言動に「敵意」や「悪意」を感じるのでしょうか。
敵意帰属バイアスの原因は、簡単に言えば認知の歪みです。
認知とは、物事の捉え方や考え方のことで、これが歪んでいるということは「思い込みに縛られている」状態にあるということです。
敵意帰属バイアスは、歪んだ認知によって、実際にはない敵意を感じ取ってしまっている状態を言います。
敵意帰属バイアスにとらわれやすい人の特徴としては、「自己肯定感が低い」「自信がない」「経験が浅い」などがあげられます。
言い換えると自分を弱いと思っている人だからこそ、そんな自分を守るために攻撃的になっている状態といえます。
ここまで原因を見ていきましたが、敵意帰属バイアスはただ単に「思い込みに縛られているその人が悪い」という話ではありません。
認知が歪む原因にはその人が育ってきた環境や関わってきた人達など様々なものがあります。
そして認知の歪みは誰しもが持っているものであるため、誰か特定の人物のせいと考えるのではなく、
歪みを持っていることこそが人間の本質であると捉えて対処法を考えていくことが重要です。
敵意帰属バイアスの対処法(自分がとらわれないために)
良好な人間関係を構築するには相手だけではなく、自分自身も敵意帰属バイアスにとらわれていないかを常に考え、対処する必要があります。
自分のとらえ方(認知)が間違っているのではないかと常に疑う
認知が歪んでいると言われても、実際に自分のどの認知がどう歪んでいるのかを判別することは難しいです。
自分自身で、自分の認知の歪みをピンポイントで見つけるのは、はっきり言って不可能です。
しかし、すべての認知に対して、本当に正しいのかどうかを考えることはできると思います。
そのことによってその場の感情に流されず、客観的な判断ができるようになるはずです。
時間をおいて感情と事実とを切り分ける
自分に向けられた言動に対してなんでもかんでも敵意や悪意を見出してしまうと、頭の中がそのことでいっぱいになってしまいます。
最初はほんの些細な引っ掛かりだったものが、そのことについて考え続けた結果その些細な疑いが確信へとかわり、
確信したことで相手に反論という形で攻撃しようと嫌な考えが暴走してしまう事が、敵意帰属バイアスの強い人によく見られます。
誰かの言動に対して少しでも「怒り」を覚えたときには、すぐに反論を始めてしまうのではなく、一呼吸おいて
自分の怒りという感情と相手の言動の本意(事実)を切り分けて考えると冷静な判断ができるようになるはずです。
敵意帰属バイアスの対処法(とらわれている相手と話すときに)
自分自身が敵意帰属バイアスにとらわれている場合にはその事実を認識することやとらわれている可能性があることを
念頭に置くことで何とか制御できるようになりますが、自分が対面している相手が
敵意帰属バイアスにとらわれている場合の対処法は自分の時とは少し異なります。
説得をしようとしない
相手の敵意帰属バイアスに対する最もシンプルな対処法は説得をしようとしないことです。
敵意帰属バイアスは原因のところで書いたように認知の歪みです。つまり、わかっていない(理解できていない)わけではなく、
こちらの言っていることが分かったうえで最後の受け取り方を歪ませてしまっている状態なので、
いくら説得をしようとしても状況が変わることはありません。
これまでその人が育ってきた環境によって根付いた歪みを直そうとすることは、
その人の考え方の根本から変えるほどのとてつもないエネルギーが必要となります。
あまり関わらないようにする
こう言っては元も子もないですが、敵意帰属バイアスは簡単になくすことはできませんので、敵意帰属バイアスが強い人と
関わることを減らすことが人間関係で余計な軋轢を生まないポイントになるかと思います。
まとめ
皆さんの周りにも敵意帰属バイアスにとらわれている方に思い当たる人物が1人は思い浮かぶのではないかと思います。
敵意帰属バイアスにとらわれている人の反論ははたから見るとなぜか感情的になって急に怒り出しているように見えてしまい、距離を置かれる原因になってしまいます。
さらにそれは本人には全く自覚がないので、自分は関係ないと思っている方が多いのではないでしょうか。(私もそう思っています。)
しかし、敵意帰属バイアスは誰にでもありうるものですので、日々の人間関係を良好なものに保つことができるように
常に自分も敵意帰属バイアスにとらわれているのではないかということを念頭に置いていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。