上場を目指す!資本政策の必要性。
上場を目指すシリーズ、
とても大事なお金の話を数回に分けてしています。
今回は“資本政策の必要性”についてです。
エクイティ・ファイナンス
資金を得るためにはデット(借入)による調達とエクイティ(株式)による調達があります。
それぞれに特徴があり、
エクイティ・ファイナンスの場合は、定期的な返済がいらない、まとまった資金を得られる一方、
経営に口を出される可能性があり、場合によっては経営権を維持できなくなるというリスクがあります。
このデメリットを補うために「資本政策」というものが存在し、これが今回のテーマとなります。
まずは、資本政策の必要性を理解するために、前提となる考え方を2つご紹介します。
株主平等の原則
「株主平等の原則」とは、
株式会社の株主は、株主としての資格に基づく法律関係においては、その内容及び持ち株数に応じて平等に扱われなければならないとする原則
です。
つまり株式会社においては、どんなスゴい人なのか偉い人なのかは関係なく、持っている株数に応じて地位(発言権)が決まるということです。
(種類株式というものが存在しますがここでは解説を省略)
この考え方を踏まえて次に進みましょう。
ダイリュージョン
もうひとつ大事なのが、「ダイリュージョン」。
あえて日本語にするなら、「希薄化」と言ったりします。
会社の持ち主は株主ですので、「株式を発行すること=会社の持分を渡すこと」です。
なので、株を発行すればするほど、既存の株主のもっている“割合”は薄まっていくことになります。
これを「ダイリュージョン(希薄化)」と言います。
図をご覧ください。
資本金100万円で創業した会社が、外部のエンジェル投資家から追加で100万円の出資を受けたというケースです。
“お金が入ってきてラッキー”
と思いきやそんなことはありません。
ダイリュージョンにより創業メンバーの持分が半分になってしまいました。
「株主平等の原則」で解説した通り、会社での地位は株数に応じて決まるので、
創業者だからどうとか関係なく、このNew株主と創業メンバーの発言権は同等になってしまい、
重要事項の決定などが自由にできず、創業メンバーが経営権を維持できない状態になってしまいました。
株価を上げよう
“お金は欲しいけど、ダイリュージョンを防いで経営権を維持したい”
そのためには、株を創業メンバーが持ってる単価より高い株価で買ってもらう必要があります。
どういうことか。
先ほどの例は、あくまで創業時と同じ単価(@1万円)で株式を買ってもらったパターンでしたが、
もしこれを@4万円で株式を買ってもらったとしたら、100万円で25株しか買えませんよね?
結果、同じ額を調達しているのに、持株比率は薄まりすぎず、経営権を維持できることになります。(下図参照)
こういうことを戦略的にやっていくのが「資本政策」です。
まとめ
「資本政策」の必要性についてご理解いただけたでしょうか。
お金を集めるために無計画に株を発行してしまうと、
お金は集まったは良いが結果として創業者の持株割合が薄まり、創業者が経営に参画できないという本末転倒な結果となってしまいます。
こういった事態を防ぐために、「資本政策」というものが必要だということです。
今回はここまでです。
次回は、
・「資本政策」って具体的に何をやるのか。
・株価を上げるってどういうことなのか。
そんなことを解説したいと思いますのでお楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。