上司は知っておきたい!モチベーションに関する『X理論Y理論』
新型コロナウィルスの影響で、はじめて在宅勤務を実践してみた会社も多いのではないでしょうか。
いかがでしたか?
「意外とうまく行っている」
「なかなか上手いこといかない」
「なんとなく業務は進んでいる気がするけど、そもそも部下がちゃんと仕事をしているのか心配だ」
いろいろ感じるところはあるでしょう。
そして生産性の観点で見ても、
「遠隔でも従業員が主体的に働き、通勤時間が減ったため逆に生産性が上がった」というパターンもあれば、
「事細かに報告などをさせた結果、生産性が落ちてしまった」というパターンもあると思います。
なぜこのような違いが出るか。
これを考えるには、経営者や上司が「従業員や部下のことを正しく捉えているか」「それに応じた動機づけができているか」がひとつのポイントとなり、参考となるフレームワークが存在します。
今回は、テレワーク時の部下の管理方法を考える上で役立つ「X理論Y理論」という概念を解説したいと思います。
X理論Y理論とは
X理論Y理論とは、アメリカの心理・経営学者であるD.マグレガーが提唱したモチベーション関する理論のひとつで、
人間に対する本質的な見方を、2つの異なる理論として対比させたものです。
もう少し詳しく説明します。
ヒトは、人間というものに対して大きく2つの捉え方をしていると言われています。
人間というものは、生まれつき仕事が嫌いで、責任を回避しようとするものだ
というものと
人間というものは、生まれつき勤勉で進んで仕事を行い、責任をとろうとするものだ
というもの。
これはどちらかが正しいという訳ではなく、そこはあまり重要ではありません。
重要なのは、組織におけるマネジメントスタイルは、上司が部下のことをどちらの見解で捉えているかによって決まるということ。
これがこのX理論Y理論の重要な考え方です。
では、具体的にどうマネジメントに影響が出てくるのでしょうか。
それぞれにおける管理方法を見ていきましょう。
X理論
X理論では、人間を「できれば仕事をせず、衣食住の欲を満たし、仲間と安定的な生活をしたい」ものだと捉えています。
この場合、部下をより厳しく、より細かく管理することが有効です。
つまり、
・明確なノルマや命令
・進捗を監督
・未達成に対する罰
など、命令や強制による管理が求められます。いわゆる「アメとムチ(ムチ多め)」による管理です。
テレワークに当てはめると、
“放っておいたらさぼるぞアイツ” という考え方のもと、始業と就業時にはタイムリーに連絡を要求し、
その日の作業内容についても事細かに報告を求めます。
少しでもサポっていることがわかると容赦なく減給などの罰を与え、指示通りに動けば少しだけ褒めます。
これがX理論です。
Y理論
Y理論では、人間は「仕事を通じて他社から賞賛を得たり自己実現をしたいと思うものだ」と捉えています。
この場合、部下の自主性を認め、極力口を出さない管理方法が有効です。
つまり、
・個人と企業の目標の合わせる
・意思決定へ参加させる
・挑戦する機会を与える
など、多少の失敗は所与のものとして、部下に最大限自主的に働いてもらう環境づくりをするという、「管理ではない管理」が求められます。
テレワークに当てはめるとこうなります。
まずは経営理念や部署の目標をしっかりと部下に浸透させておきます。ここが一番大事です。
そのうえで、テレワークのやり方も部下と一緒に考えて一緒に決め、大枠が決まればあとは細かいことは言わず多様な個々のスタイルを認めましょう。
これがY理論です。
実際の運用は?
上記ではX理論Y理論ともに少々極端な例を挙げましたが、実際には人間をどちらかに明確に分類するのは難しいです。
しかもそれは一様ではなく、人によって異なります。
しかし、誰しもがこの両端のどこかに位置しており、「この人はどういう人だろう」としっかり考えることが非常に大事です。
ひとつヒントとなるのが、現代の日本ではY理論を念頭に動機づけをすると良いと言われています。
というのも、このX理論Y理論は『マズローの欲求段階説』をもとにしており、
X理論はどちらかというと低次の欲求を中心に考えられており、Y理論はより高次の欲求を中心に考えられています。
この点、現代の日本においては低次の欲求は満たされていることが多いため、X理論はあまりモチベーションにはならないだろうという理屈です。
実際にみんながみんな、低次の欲求は満たされている訳ではないので、人間をよく観察することが重要です。
「どんな欲求をもっているのか」「どんなことが好きなのか」を考えると答えが見えてくるのではないかと思います。
X理論にしてもY理論にしてもめちゃくちゃ当たり前のことしか言っていないと思ってしまいますが、
実際にこれをきちんと使い分けて部下のモチベーション管理をしている人は少ないのではないでしょうか。
遠隔でも適切に部下を導けるよう、マネジメント方法に工夫をしたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。