会社の値段はいくら?企業価値評価入門編その1
企業価値評価とは
モノには値段があります。
スーパーに並んでる野菜から不動産屋で売ってる家まで、私たちの身の回りにあるほとんどのモノには値段がついています。
そして、会社にも値段があります。
企業価値評価は、会社の値段(株式会社であれば株式の値段)を決めるために行うものです。
通常、企業価値評価は会計士、税理士などの専門家が行いますので、
その場面に遭遇することはそう多くない上に、
なんかマニアックそうやし自分には関係ないやろうと思ってらっしゃる方も多いかと思います。
しかし、相続や事業承継、M&Aなど、企業価値評価に”出くわす”機会は増えています。
いざというときに何にも知らないよりは、大きな考え方だけでも知っておくメリットはあると思います。
そして、一度自社の値段について考えてみても面白いのではないでしょうか。
価格と価値 -一物多価とは-
値段(価格)は、売り手と買い手の交渉、需要と供給のバランスによって決まります。
そしてその交渉などのベースとなるのが、モノの『価値』です。
値段は無限、価値はひとつ
なんて考え方もあります。
確かに、バブルのときなんかは、土地の価値は一定だったにも関わらず、
変な迷信とそれに踊らされた異常な需要の高まりによって価格が急騰したという事実はあります。
ただ、その一定と言われている『価値』自体もまた、売り手/買い手の立場や目的によっても異なることがあります。
これを『一物多価』と言います。
例えば、土地は一物多価です。
同じ土地でも評価目的によって価格が異なり、
「実勢価格」「公示価格」「基準値標準価格」「路線価」「固定資産税評価額」という5つの価格があります。
もっと簡単なところでいうと、メルカリって同じモノでも結構値段が違いますよね?
もちろんそれが新しい(キレイ)or古い(汚い)などの違いはあるにせよ、
全く同じ状態なら、
買い手が使うことを目的としているのか、それとも転売が目的なのか、はたまたポイントの消化のみを目的としているのか、
目的によって価値が変わってきます。
その価値がベースにあった上で、売りたい価格と買いたい価格の交渉範囲の中で値段を決めて行きます。
値決めって難しいですね。
本題に戻ると、会社も『一物多価』です。
目的や当事者の立場によって価値が異なります。
企業価値評価の目的
会社の価値も目的によって異なるという話をしましたが、
企業価値評価を行う目的は大きく3つあります。
①取引するため
まずは取引目的です。
M&Aで会社が会社を買ったり、資金調達をするために会社が新しく株を発行したりするために、
取引の価格を求める場合が該当します。
実務では取引目的が一番多く、通常は私たち会計士や税理士が評価を行います。
②裁判で使うため
次は裁判目的。
取引をする際に売り手と買い手の価格が折り合わなかった場合、裁判所が価格を決定することがあります。
また、会社が何か大きなアクションを起こそうとしたときに、株主が反対して株を買い取れと請求してきた場合なども該当します。
通常、裁判所の委嘱を受けた鑑定人によって評価が行われます。
③税金を払うため
最後は課税目的。
いわゆる贈与税や相続税です。
相続、遺贈または贈与により財産を取得した場合、税金がかかります。
財産は、決まった基準(財産評価基本通達)によって評価がなされ、
その評価額をもとに税金が計算されます。
通常は、税理士や会計士が評価を行うことが多いです。
これら3つの目的ごとに、価値評価を行う際の考慮すべき要件や準拠すべき基準が異なるので、
算定される価値も違ってくることになります。
まとめ
今回はどちらかというと企業価値評価そのものというよりかは、
そのベースとなる考え方的なところにフォーカスをして解説をしました。
企業価値に限らず値決めっていうのは、本当に難しく奥が深いものだと考えております。
引き続き私たちも勉強していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。