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債権者が債務者の破産を申し立てる『第三者破産』とは?

事業の継続が困難になり、会社を畳むことを決めた事業主は、裁判所に申し立てを行い、破産手続を開始してもらいます。
破産手続は、会社の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続のことで、通常は債務者である事業主本人が申し立てを行う必要があります。
しかし、破産法では、一定の要件のもと債権者による破産手続の申し立てを認めています。
この行為を『第三者破産』または『債権者破産』と呼びます。
債権者が第三者破産で債務者を破産させることのメリットや、利用する際の要件、手続の流れなどについて説明します。

総資産を債権回収の対象にすることができる

債権者が破産手続を申し立てるメリットはいくつかあります。
その一つは、債権を損金として処理できることです。
債務者に対して売り上げた金額の未回収分、いわゆる『債権』は、会計上は売り上げた段階で売上計上する必要があり、その売上に対して法人税や消費税が発生します。
しかし、第三者破産を行うと、弁済されていない債権を損金として処理することができ、その分の税負担を減らすことができます。

また、債務者の総資産を債権回収の対象にできるのも、第三者破産のメリットです。
通常の債権回収は、裁判所に申し立てを行い、強制執行によって債務者の財産を差し押さえることになりますが、その際は債権者が差し押さえる財産を特定する必要があります。
もし、特定できなければ債権に見合う財産を差し押さえられません。
しかし、第三者破産を行えば、生活必需品などの差押禁止財産を除き、債務者の全財産を債権回収の対象にできるため、差し押さえる財産を特定する必要がなくなります。

さらに、第三者破産によって、債務者の『詐害行為』を防ぐこともできます。
詐害行為とは、債務者が債権者の不利益になることを知りながら、自身の財産を処分し、返済が行えなくなる行為のことです。
債務者が財産を勝手に処分したり、格安で譲り渡したりしていては、債権者は債権の回収ができません。
しかし、第三者破産を行うことで破産手続が始まっていれば、裁判所から選任された破産管財人によって、債務者の財産は厳しく管理され、債務者による不当な財産の処分も無効にすることができます。

このように債権者にとってはさまざまなメリットがある第三者破産ですが、実は、現実ではあまり一般的な手段ではありません。

その理由の一つは、債権の回収という点で見ると、そこまで有効な手段ではないからです。
まず、債権者が第三者破産を裁判所に申し立てると、破産管財人によって債務者の財産は現金化され、それぞれの債権者の債権額に応じた額が平等に配当されます。
このとき、第三者破産を申し立てた債権者が優先的に配当を受けられるといった優遇措置はなく、通常の破産手続と同じ額しか回収できません。
多くの債務者は財産が少なかったり、ほとんど残っていなかったりするため、せっかく第三者破産を行っても、満額での回収はむずかしいのが現状です。

また、節税という面から見ても、第三者破産が特に有効というわけではありません。
回収が困難な債権は、その債権の種類にもよりますが、債権回収会社(サービサー)に売却することで、税務上は損金として処理できることもあるため、わざわざ第三者破産を行わなくても済むというのが、その理由です。

第三者破産は、債務者が行う通常の破産手続と比べて、時間も手間も費用もかかります。
債務者本人ではなく、第三者である債権者が破産の申し立てを行うことになるため、裁判所も破産手続を開始するべきか否か、慎重に判断するからです。

債権者が裁判所に第三者破産の申し立てを行うには、まず、債務者の経済状況や債権の支払いが不能であることを立証する必要があります。
支払いが遅れているという理由だけで、債権の支払いが不能であるとは断定できません。
これらを立証するためには、債務者の協力が必要になり、債務者が破産に納得していない場合は協力を得ることができず、余計に時間や手間がかかってしまいます。

また、第三者破産の申し立てが行えたとしても、裁判所では債務者と債権者の両方が審尋を受けることになるので、ここでも時間を取られてしまいます。

さらに、第三者破産にかかる費用は申し立てを行なった債権者が支払わなければいけません。
各地の裁判所にもよりますが、東京地裁の例ですと、まず、収入印紙代に2万円、郵券切手代に6,000円かかります。
予納金は債務者の総負債額によって変動し、総負債額が5,000万円未満なら70万円、5,000万円~1億円未満なら100万円、1億円~5億円未満なら200万円と定められています。
ほかにも、第三者破産は弁護士に依頼することになるため、弁護士費用も考えておく必要があります。

このように、第三者破産には明確なメリット・デメリットが存在します。
時間や手間、費用などを考慮して、多くのメリットが得られる場合にだけ、第三者破産を検討するとよいでしょう。

※本記事の記載内容は、2023年12月現在の法令・情報等に基づいています。

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