贈答品の相手方はどの範囲までが交際費になるのか
こんにちは。KUMA Partnersです。
取引先やお世話になっている方々へ贈るプレゼント(贈答品)。日頃の感謝を伝えたり、今後の良好な取引関係を維持したりするために、大切なイベントのひとつですよね。
税務上、取引先へのプレゼント代は基本的に「交際費」として経費(損金)処理をすることになりますが、税務調査でしばしば議論になるのが「そのプレゼント、誰に贈ったの?」という点です。
例えば、「主要な取引先の社長の奥様宛てに女性用のバッグや化粧品を贈った」という場合、税務署から「奥様は直接の取引相手ではないのだから、経費(交際費)としては認められません」と指摘されてしまうケースがあります。
今回は、税務調査で突っ込まれやすい「交際費として認められる相手の範囲」について、通達や実務の考え方をわかりやすく解説します。
1. 税務調査で実際にあった相談事例
まずは、実際の税務調査で論点となった事例をご紹介します。
【実際にあったご相談】
- ある会社が、長年お世話になっている複数の主要取引先へ贈答品を渡していた。
- そのうちの1社については、取引先社長の奥様宛てにプレゼント(女性用バッグや化粧品など)を贈っていた。
- 税務調査官から「奥様は会社の業務に直接関係がないため、交際費として認められない(経費から除外する)」と指摘されてしまった。
調査官の「直接仕事のやり取りをしていない家族へのプレゼントは経費にならないのでは?」という主張も、一見するともっともらしく聞こえますよね。
しかし、税務上のルールを正しく読み解くと、この指摘にはしっかりと反論することが可能です。
2. お歳暮・お中元で考えると分かりやすい!
この問題を整理するために、普段みなさまが取引先へ贈っているお歳暮やお中元(食品や酒類など)の送り先をイメージしてみてください。
- 会社のオフィスに送る場合
「社員のみなさんで召し上がってください」という意味合いになります。 - 取引先社長のご自宅に送る場合
「ご家族みなさんで召し上がってください」という意味合いになります。
送付先がオフィスであってもご自宅であっても、これらが問題なく「交際費」として認められることに異論がある方は少ないはずです。
税務上の「交際費」とは、単に直接の担当者にお金をかけることだけを指すのではありません。「取引先との良好な関係を維持・発展させるための支出」であれば、広く交際費として認められるのが本来の趣旨なのです。
3. 税法上の「相手方の範囲」はかなり広い
国税庁が定めている通達(措置法通達61の4(1)-22)にも、交際費の対象となる相手の範囲について明確に記載されています。
少し難しい法律用語を噛み砕くと、以下のように書かれています。
■ 交際費等の支出の相手方の範囲(通達の要約)
交際費の対象となる「事業に関係のある者等」には、直接取引関係がある相手だけでなく、間接的に会社の利害に関係がある者や、役員、従業員、株主なども含まれる。
ここでのポイントは、「間接的に利害関係がある者」も含まれるという点です。
中小企業において、取引先社長の奥様は「経営を影で支える存在」であったり、自社との取引維持において間接的に大きな影響力を持っていたりすることも珍しくありません。
したがって、「奥様宛てだから即アウト」ということにはならず、「取引先との良好な関係を保つために必要な贈答であった」という文脈が成り立てば、間接的な利害関係者への支出として正々堂々と交際費に含めることができます。
4. まとめ:税務調査で指摘されたときの対応策
税務調査の場では、形式的に「業務の相手方(担当者や役員本人)かどうか」だけで判断しようとする場合があります。
もし「取引先のご家族宛ての贈答品だから交際費にならない」と指摘された場合は、以下のポイントを整理して反論・説明を行いましょう。
- その取引先と自社との間にどのような取引・利害関係があるか
- ご自宅やご家族宛てへの進物が、取引維持のためにどのように役立っているか
- お中元・お歳暮等と同様に、円滑なビジネス関係を構築するための常識的な範囲の支出であること
「直接の担当者以外へのプレゼントだから」といって諦める必要はありません。
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