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『シフト制』のトラブル防止対策! 合意に基づくルールづくりを

勤務シフトによって労働日や時間を決めるシフト制は、現場に合わせた柔軟な運用がしやすく、労使双方にメリットのあるシステムです。
しかし、あいまいな合意のまま進めると「思っていたよりもシフトが少ない」などといったトラブルを引き起こし、実際に紛争に発展するケースもあります。
そこで今回は、厚生労働省が取りまとめた留意事項に基づき、シフト制で労働契約を締結する際の注意点や就労させる際のポイントを解説します。

コロナ禍でトラブル増加?シフト制労働者の雇用管理

シフト制とは、労働契約時に具体的な労働日や労働時間を定めず、1週間や1カ月ごとなどでつくる勤務シフトで確定させる勤務形態です(ここでいうシフト制には、三交代勤務のようにパターン化した労働日数・時間数を組み合わせる形態は含みません)。

柔軟に労働日や時間を決められるシフト制は、労使ともにメリットを享受できるシステムです。
しかし、あいまいな合意のまま勤務シフトを運用すると「ほとんどの日にシフトに入れない」「休業手当を支払って欲しい」といった労働者側の不満が生じかねません。

特にコロナ禍の時短営業や休業により、人員調整をしたい使用者と、今まで通り働きたい労働者との間で、対立するケースが目立つようになりました。
一部の労働者は訴訟に踏み切るなど、シフト制の運用から大きなトラブルに発展しているケースもあります。

このようなトラブルの解決を援助する『個別労働紛争解決制度』などはあるものの、まずは使用者において、トラブルを未然に防ぐ体制づくりが重要です。

シフト制で労働契約を締結する際の注意点

2022年1月、厚労省は「『シフト制』労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項」を取りまとめました。
労働契約書においてシフト制の労働条件などを可能な限り明らかにし、合意とルールづくりをもってトラブルを防ぐという趣旨の呼び掛けです。
ここでは、労働契約を締結する際の注意点について解説します。

労働条件の明示とシフト制労働契約で望ましい事項

労働契約の締結時には必ず明示しなければならない事項が法律(労基法第15条)で定められており、契約期間や賃金の決定方法などの労働条件を、原則書面で交付しなければなりません。
その中でも特にシフト制で注意が必要なのは、以下の2つです。

【シフト制の注意点】
(1)始業・終業時刻
労働契約の締結時点で、すでに始業と終業の時刻が確定している日については、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な時刻を記載したうえで、締結時に定める一定期間分のシフト表などとあわせて交付する必要があります。

労働条件通知書などにおいて、単に「シフトによる」と記載するだけでは始業就業だけでなく労働時間も不明確であるため、明示としては不十分なので注意しましょう。

(2)休日
シフト休、所定休日、法定休日の認識のずれがトラブルにつながることが多いため、休日について具体的な曜日などが決まっていない場合でも、基本的な考え方などを明記しておく必要があります。

また、シフトの作成・変更・設定なども、労使で話し合ってルールを定めておくとよいでしょう。
作成や変更のルールは、就業規則などで一律に定めることもできます。

【ルールとして定めておくとよいこと】
(1)シフトの作成
・シフト作成時には事前に労働者の意見を聞くこと
・シフトの通知期限(シフトが通知される時期、毎月〇日など具体的な日)
・通知方法(メールによる通知、書面による通知など具体的な方法)

(2)シフトの変更
・シフト期間開始前に一旦確定した労働日や時間を変更する際、使用者や労働者が申し出る期限や手続き
・シフト期間開始後に確定していた労働日や時間をキャンセル・変更する際、その期限や手続き
※いずれの場合も「3日前までに変更の申し出」など明確であることがポイントです。
※確定したシフトの日や時間は労働条件の変更に該当するため、労使双方の合意が必要です。

(3)シフトの設定
・労働者の希望に応じて合意すること
・一定期間中にシフト設定する最大日数や時間数・時間帯
・一定期間中の目安となる労働日数や時間数
※これらにあわせて、最低限労働する日数や時間数などを定めることもできます。

なお、常時10人以上を使用する使用者は、『始業及び終業の時刻』や『休日』などについて就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

シフト制労働者を実際に就労させる際のポイント

実際にシフト制労働者を就労させる際に押さえるべきポイントも見ておきましょう。

まず、労働時間と休憩についてです。
シフト制労働者であっても、労働時間や休憩についての定めはシフト制ではない労働者と同じです。
労働時間の上限は、原則1日8時間、1週40時間であり、時間外労働においては36協定の対象となります。
休憩についても同様で、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、勤務時間中に与えなければなりません。

次に、年次有給休暇についてです。
所定労働日数・時間数に応じて、労働者には法定日数の年次有給休暇が発生します。
原則、請求のあった時期に取得させなければならず、これはシフト制労働者にも適用されるため注意が必要です。

「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった扱いは認められていません。
また、使用者の責任でシフト制労働者を休業させた場合は、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。

コロナ禍の休業については、不可抗力による休業の場合は支払義務がないとする厚労省の方針も出されているため、慎重な取り扱いが求められます。

そのほか、厚労省から発布されている「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」においては、労働安全衛生法に基づく安全衛生教育や健康診断、解雇や雇止め、募集・採用、労働・社会保険などのほか、均等・均衡待遇についても留意することが求められています。
適宜、専門家のアドバイスを受けながら、就業形態などにかかわらず、適正な雇用管理を意識していきましょう。

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